ISOとは
マネジメントシステムとは何か
マネジメントシステムのお話
「マネジメントシステム」とは、一般的に「企業の経営を管理する制度や方式」といった表現で定義されている。もう少し噛み砕いて説明すると、「経営者が立てた方針・目標を、どのようなやり方で達成するのか、誰がどのような役割分担で活動を行うのか、目標が達成できそうにない場合はどのようにして挽回するのか、といった経営目標を達成するための活動の仕組みやルール」といえば多少は理解できるだろうか? そしてこのような仕組みやルールは、その確実さ、緻密さ、厳格さ、定着度等に程度の差はあれ、どんな会社にもその会社独自のものが存在しているはずである。
マネジメントシステムの要求事項
経営目標を達成するための仕組みやルール、すなわちマネジメントシステムは、会社独自に決めて実施するものであるから、本来ならどのような内容のものでもよいわけです。しかし、ISOはこのマネジメントシステムに対して、「このようなやり方をしてください」と様々な注文を出している。これがいわゆるISOの「要求事項」である。代表的な「要求事項」として、「マネジメントシステムの運用において、PDCAのサイクルを回して継続的改善を図りなさい」というものがある。これは、様々なマネジメントシステム規格のいずれもが共通して要求しているものである。
マネジメントシステムのサイクル
では、その「PDCA」のサイクルを説明しましょう。PはPlan(計画)のP。まず、経営者は会社経営のために経営方針や経営目標を立てる。そしてこの経営目標を達成するための計画を立案し、会社運営を円滑に進めるための様々な手順やルールを決定する。業務計画書や業務マニュアルといった文書はこのPの段階でのアウトプットとなる。DはDo(実施)のDです。Pで立てた計画や手順・ルールに従って確実に実施する。定められた手順・ルールからの逸脱はご法度である。CはCheck(監視・測定・分析)のC。定められた手順どおりに実施した結果、狙いどおりの仕事の結果が出ているか否かをチェックする。手順どおりにやっても業務上発生する問題については、その原因を分析する。AはAct(改善)のAです。Cの分析の結果から、仕事のやり方を改善したり、計画書の内容を見直したりする。そしてその結果、活動はPに戻り、新たな計画書や手順書が改訂されて生まれ変わることになる。
マネジメントシステム認証を受けるということ
こうしたPDCAの各プロセスの活動を繰り返し実施し、各企業の目標を達成する力を継続的に改善していくことをISOのマネジメントシステム規格は求めている。そしてISOの様々なマネジメントシステム認証を受けようとすれば、各ISO規格の固有の要求事項への適合を含め、このPDCAサイクルを回し続けて行く企業であることを審査で証明できればよいわけです。
マネジメントシステム規格の種類
多様なマネジメントシステムの規格
マネジメントシステム規格には、皆さんがよく目や耳にされるであろうISO 9001、ISO 14001以外にも、様々な種類の規格が存在している。ここでは、主要なマネジメントシステム規格を下記にまとめてみた。ここに紹介したいずれのマネジメントシステム規格も、前に述べた「PDCAのサイクルを回して継続的改善を図りなさい」という意図の要求事項が含まれており、これらはすべて企業変革のためのツールなのである。
ISO 9001 品質マネジメントシステム規格
顧客満足の向上を目指し、顧客の要求する製品・サービスを提供するため、継続的にマネジメントシステムを改善し続けることを求めた規格。
ISO 14001 環境マネジメントシステム規格
組織の活動、製品・サービスが直接又は間接的に環境に与える影響を低減し、環境への悪影響を与える事故の発生を予防するため、継続的にマネジメントシステムを改善し続けることを求めた規格。
ISO 45001 労働安全衛生マネジメントシステム規格
職場における労働衛生災害リスクの低減と、将来の発生リスクを回避するため、継続的にマネジメントシステムを改善し続けることを求めた規格。
ISO 27001 情報セキュリティマネジメントシステム規格
自治体、民間企業などの組織を問わず適用できる、情報セキュリティ管理の仕組みについて規定した規格。
ISO 22000 食品安全マネジメントシステム規格
食品安全確保のため、食品業界特有の要求事項で構成されるマネジメントシステム規格。食品安全システムをいかに構築し維持し続けるかについて、食品製造業者を指導するものになると考えられています。
IATF 16949 自動車産業の品質マネジメントシステム規格
ISO 9001をベースに自動車業界特有の要求事項を付加し、サプライチェーンにおける欠陥の予防、ばらつきやムダ低減に重点をおいた規格。
ISO 13485 医療機器の品質マネジメントシステム規格
医療機器は人命や健康維持に大きな影響を持っているため、滅菌、リスクマネジメント活動、清浄・清潔・汚染防止といった衛生面での厳格な医療機器特有の要求事項がISO 9001に追加されており、文書化の要求が多いのも特徴。